氷川神社を武藏國の鎭守と爲すの勅語（明治元年十月十七日）

※王政復古の大号令渙発百五十年を迎へ明治元年の詔を謹み敬ひてここに記す。

氷川神社を武藏國の鎭守と爲すの勅語

崇神祇重祭祀、皇國大典、政敎基本。然中世以降、政道漸衰、祀典不擧、遂馴致綱記不振。朕深慨之。方今更始之秋、新置東京、親臨視政。將先興祀典、張綱紀、以復祭政一致之道也。乃以武藏國大宮驛氷川神社、爲富國鎭守、親幸祭之。自今以後、歳遣奉幣使、以爲永例。

【謹譯】神祇じんぎを崇たっとび、祭祀さいしを重おもんずるは、皇國こうこくの大典たいてん、政敎せいきょうの基本きほんなり。然しかるに中世ちゅうせい以降いこう、政道せいどう漸ようやく衰おとろへ、祀典してん擧あがらず、遂ついに綱記こうきの不振ふしんを馴致じゅんちす。朕ちん、深ふかく之これを慨がいす。方今ほうこん更始こうしの秋とき、新あらたに東京とうきょうを置おき、親したしく臨のぞみて政まつりごとを視みる。將まさに先まづ祀典してんを興おこし、綱紀こうきを張はり、以もって祭政さいせい一致ちの道みちを復ふくせんとす。乃すなわち武藏國むさしのくに大宮驛おおみやえき氷川ひかわ神社じんじゃを以もって、當國とうごくの鎭守ちんじゅと爲なし、親したしく幸みゆきして之これを祭まつる。自今じこん以後い ご、歳としごとに奉幣使ほうへいしを遣つかわし、以もって永例えいれいとなす。

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