【10/30】教育ニ関スル勅語渙発あそばされた日

朕ちん惟おもふに、我われが皇祖くわうそ皇宗くわうそう国くにを肇はじむること宏遠こうえんに、徳とくを樹つること深厚しんこうなり。我われが臣民しんみん克よく忠ちゆうに克よく孝かうに、億兆おくてふ心こころを一いつにして　世々よよ其その美びを済なせるは、此これ我わが国体こくたいの精華せいくわにして教育けふいくの淵源えんげん亦また実じつつに此ここに存そんす。　爾なんじ臣民しんみん父母ふぼに孝かうに、兄弟けいていに友いうに、夫婦ふうふ相和あいわし、朋友相ほういうあい信しんじ、　恭倹きようけん己おのれを持ぢし、博愛はくあい衆しゆうに及およぼし、学がくを修おさめ、業げうを習ならひ、以もつて知能ちのうを啓発けいはつし、徳器とくきを成就じようじゆし、進すすんで公益こうえきを広ひろめ、世せい務むを開ひらき、常つねに国憲こくけんを重おもんじ、国法くにほうに遵したがひ、一旦いつたん緩急くわんきふあれば義勇ぎゆう公こうに奉じ、以て天壌てんじよう無窮むきゆうの皇くわう運うんを扶翼ふよくすべし。是かくの如ごときは、獨ひとり朕ちんが忠ちゆう良りやうの臣民しんみんたるのみならず、又また以もつて爾祖先なんぢそせんの遺風いふうを顕彰けんしやうするに足たらん。斯この道みちは、実じつに我われが皇祖くわうそ皇宗くわうそうの遺訓いくんにして、子孫しそん臣民しんみんの倶ともに遵守じゆんしゆすべき所ところ、之これを古今ここんに通つうじて謬あやまらず、之これを中外ちゆぐわいに施ほどして悖もとらず、朕ちん爾なんぢ臣民しんみんと倶ともに拳けん拳服けんふく庸ようして咸みな其その徳とくを一ひとつにせんことを庶幾こいねがふ。

明治二十三年十月三十日　 御名　御璽