八月九日を記憶せよ

八月九日は、日本人であれば誰でも知つてゐる「長崎原爆投下の日」である。もちろんこの日も決して忘れてはならなく、日本人からすると毎年この日に怒りがこみ上げるのも尤もな話である。もう一方でこの日は大東亜戦争終結直前にロシア(旧ソ連)が日本との中立条約を一方的に破棄し侵略して来た日でもある。何故かマスコミ等はこの事実を封印してやまない。

昭和二十年八月八日、先にも述べたが、突然一方的に対日宣戦布告し、翌九日、旧ソ連と満州の国境から侵略し、日本に攻め込んで来たロシアは、終戦の十五日にも進撃を止めず、九月末までには、南樺太・全千島列島まで完全に占拠されてしまつた。その後ロシアは、昭和二十一年二月、ソ連最高会議幹部会令によって択捉・国後・色丹・歯舞まで、一方的に自国編入し、昭和二十四年までにすべての日本人を強制退去させた。

終戦を間近に控へたのも承知しながら火事場泥棒を平然と行つたロシアに対し、戦後六十八年経つても一向に解決してない我が国固有の領土の北方領土。元島民だつた人々は墓参でさえ自由に行けない。この為に、ロシアとの間に平和条約がいまだに締結されてゐないのである。

国際化された近代に於いて「条約」といふ名のもとに領土が確定するものだが、条約が実際的に有効なのであれば、ポーツマス条約が一番相応しい条約であり、よつて南樺太と全千島列島が日本領土とならねばならない。

近年、竹島紛争がやうやく国民に周知され、尖閣諸島の問題も国民に広く周知されるやうになつた。その陰で北方領土紛争が鳴りを潜めているやうに思へてならない。

八月九日は、長崎原爆投下の日と合はせ、ロシアとの間に領土紛争が解決してゐない事を思い出して頂きたい。

 

八月九日              ソ連(ロシア)対日宣戦布告

八月十五日           「ポツダム宣言」受諾・終戦

八月十八日           千島列島占領(~八月二十七日)

八月二十八日       北方四島占領(~九月五日)、択捉島留別港に上陸。

九月一日              国後、色丹島に上陸。

九月二日              ミズーリ艦上で、降伏文書に署名。

九月三日              歯舞群島に上陸。

二十一年二月       歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島及び千島諸島を自国領に編入

※磯和典

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