第一三四一詔 政治始の勅語(明治二年一月四日)

※王政復古の大号令渙発百五十周年を迎へ明治以降の詔を謹み敬ひてここに記す。

第一三四一詔 政治始の勅語

朕惟(おもん)ミルニ、在昔(むかし)神皇基ヲ肇メシヨリ、列聖相繼キ以テ朕カ躬ニ逮(およ)フ。朕否德、夙夜競業(しゅくやきようげふ※朝晩謹しみ恐るるの意)、先皇ノ緒ヲ墜サン事ヲ之懼ル。曩者兇賊(さきごろきようぞく※先の日の幕府)命ニ梗シ、億兆塗炭ニ苦シム。幸ニ汝百官將士ノ力ニ賴リ、速ニ戡定(かんさだむ※平定の意)ノ功ヲ奏シ、萬姓(※万民の意)堵ヲ安スルニ至ル。今茲歳己巳三元(さんげん※正月の意)ノ啓端(元日の意)ニ在リ。上下又寧ク、遠邇(えんじ※遠近の意)來賀ス。朕何ノ慶カ之ニ加ヘン。惟フニ天道常靡ク、一治一亂、內安ケレハ、必外ノ患アリ。豈(あ)ニ戒愼セサルヘケンヤ。朕益(ますます)祖業)ヲ(を)恢弘シ、覃(のべ)テ中外ニ被ラシメ、以テ永ク先皇ノ威德ヲ宣揚セン事ヲ庶幾(しよき※希望の意)ス。汝百官將士勉勵懈ラス、各其ノ職ヲ竭(つく)シ、敢テ忌憚ナク、朕カ闕漏(けつろう※欠点の意)ヲ匡救(きやうきう※補ふの意)セヨ。汝百官將士其レ旃ヲ勉メヨ。(明治二年一月四日)