第一三八九詔 廢藩置縣の詔(明治四年七月十四日)

廢藩置縣の詔

朕惟フニ、更始ノ時ニ際シ、內以テ、億兆ヲ保安シ、外以テ萬國ト對峙セント欲セハ,

宜ク名實相副ヒ、政令一ニ歸セシムヘシ。朕、曩(さき)ニ諸藩版籍奉還ノ議テ聽納シ、新ニ知藩事ヲ命シ、各其(しよく)ヲ奉セシム。然ルニ數百年因襲(註一)ノ久キ、或ハ其名アリテ、其實擧ラサル者アリ。何ヲ以テ億兆ヲ保安シ、萬國ト對峙スルヲ得ンヤ。朕、深ク之ヲ慨ス。仍テ今更ニ藩ヲ廢シ、縣ト爲ス。是レ務テ冗ヲ去り、簡ニ就キ、有名無實ノ弊除キ、政令多岐ノ憂無ラシメントス。汝群臣、其レ朕カ意ヲ體セヨ。明治四年七月十四日

註一 謹解 数百年に及ぶ武家支配の藩政によるしきたりのもとに生まれた弊害。

※平成三十年、王政復古の大号令渙発百五十周年を迎へ明治以降の詔を謹み敬ひてここに記す。(出典:錦正社出版 みことのり その他)