第一三九五詔 海陸軍律頒布の勅語
朕惟フニ、兵民途ヲ分チ(註一)、寬猛治ヲ異ニス(註二)。其律ヲ定ㄨˋ法ヲ設クルニ於テ、豈(あに)斟酌商量(註三)以テ其宜ヲ制セサル可ケンヤ。頃(このごろ)、海陸軍律撰輯(註四)、竣(をはり)ヲ告ク。朕之テ閱スルニ、損益要ヲ得(註五)、輕重度ニ合セリ。依テ頒布シ、有司(註六)ヲシテ遵守シ、軍人ヲシテ懲誡スル所アラシム°明治四年八月二十八日
註一 兵民途ヲ分チ 軍人と国民は、その職分が異なつてゐる
註二 くわんまうちをことにす 寛大に治めるのと厳格に治めるのとのちがひがあるとの意。
註三 しんしやくしやうりやう 事情を考へてはかり定めること
註四 せんしふ 文または詩歌等を撰びあつめること。撰集に同じ
註五 損益要ヲ得 簡要を得に同じ
註六 有司 各々の役割
※王政復古の大号令渙発百五十周年を迎へ明治以降の詔を謹み敬ひてここに記す。(出典:錦正社出版 みことのり その他)