第一六五五詔 皇室典範及び憲法草案諮詢の勅語(明治二十一年五月四日)

朕(ちん)、前(さき)ニ閣(かく)臣(しん)ニ命(めい)シテ、起草(きさう)セシムル所(ところ)ノ皇室典範(くわうしつてんぱん)及(および)憲法(けんぱふ)ノ案(あん)ヲ以(もつ)テ、樞(すう)密院(みつゐん)ニ下(くだ)シ、詢議(じゆんぎ)ニ付(ふ)ス。惟(おも)フニ立憲(りつけん)ノ大事(だいじ)ハ、朕(ちん)カ租宗(そそう)ニ對(たい)スルノ重責(ぢゆうせき)ニシテ、經營(けいえい)創始(さうし)、 朕(ちん)自(みづか)ラ之(これ)ヲ斷(だん)スルノ任(にん)ヲ取(と)ラントス。而(しか)シテ帷幄(ゐあく)(註一)ノ(の)中(うち)、勵精(れいせい)研思(けんし)、卿(けい)等(など)ト之(これ)ヲ俱(とも)ニシ、獻替啓沃(けんたいけいよく)(註二)、一(いつ)ニ卿(けい)等(ら)ノ忠悃(ちゆうこん)慎(しん)密(みつ)ニ倚藉(いしや)(註三)セスンハアラス。其(その)他(た)重要(ぢゆうえう)ノ法律(はふりつ)勅令(ちとくれい)ニシテ、 憲法(けんぱふ)ト關係(くわんけい)ヲ有(いう)スル者(もの)、更(さら)二相續(あひつづ)キテ院議(ゐんぎ)ニ下(くだ)サントス。朕(ちん)卿(けい)等(ら)ノ勞劬(らうく)ヲ勉(つと)メ、職務(しよくむ) ヲ慎(つつし)ミ、日(ひ)ヲ期(き)シテ功(こう)ヲ終(を)へ、以(もつ)テ夙(しゆく)夜(や)ノ憂(いう)ヲ分(わか)タンコトヲ望(のぞ)ム。(「詔勅集」下)

註一 陣営に幕をめぐらした事から作戦を立てる所。本営。

註二 天皇に対し奉り補佐し思ふことを隠さずに奏上する事

註三 頼るの意

承詔必謹