琉球藩王ヲ封スルノ勅語
朕、上天ノ景命ニ膺(あた)リ(註一)、萬世一系ノ帝祚ヲ紹キ、奄(はるか)ニ四海ヲ有チ、八荒ニ君臨ス。今琉球近ク南服ニ在リ。氣類相同ク、言文殊ナルナク(註二)、世々薩摩ノ附庸(註三)タリ。而シテ爾尙泰(しようたい)能ク勤誠ヲ致ス。宜ク顯爵(けんしやく※註四)ヲ予フヘシ。陞(のぼ)シテ琉球藩主ト爲なシ、叙シテ華族ニ列ス。咨(ああ)爾尙泰、其レ藩屏(註五)ノ任ヲ重シ、衆庶ノ上ニ立チ、切ニ朕カ意ヲ體シテ、永ク皇室ニ輔タレ。欽メ哉や。明治五年九月十四日
(註一)上天ノ景命ニ膺リ 高天原にまします天照大御神の景命(勅命)を受けての意。
(註二)氣類相同ク 氣候・產物が同じ 言文殊ナルナク 言語・風俗が相違してゐないの意
(註三)附庸 臣としての資格で奉仕する者
(註四)顯爵 名譽ある爵位
(註五)藩屏 皇室を守護するもの