今囘文部省學制諸般ノ規則ヲ熟覽セシニ、初メ朕カ、前任文部卿寺島宗則ニ喩シタル以來ノ趣意達セシ者ト看ル。故ニ其教則等ニ於テモ、總テ朕カ異存惜ク所ナシ。因テ此旨ヲ速ニ現任文部卿ニ傳へヨ。且次ノ條件ラ諭セヨ。
一此學制規則ヲ以テ、文部卿ニ於テ、十分ニ實際ノ施行ヲ逐グルプ要トスベシ。之ヲシテ徒法ニ歸セシムルコト勿レ。
一教育ノ事ハ、固ヨリ一時ニ遂グベキモノニ非ズ。假令現任文部卿ヲ替ルトモ、文部省ニ於テハ、此旨趣ヲ一貫シ、徹底セシムベキノ覺悟アルベシ。
一從來欧米ニ偏セシ學風ハ、亡慮之ブ洗除シ、小學歴史科二於テハ、我國史ノ外、漢洋共ニ用ヒザルガ如キ、尤其宜シキヲ得タリトス。然ドモ爾後或ハ風潮ニ逐ハレ、 更ニ獨逸ニ倣フベク、又ハ露國ニ取ルベキ等ノ論アルモ、文部省一定ノ制規ニ據リテ變動セズ、十年ノ後其成功ヲ奏スベシ。若シ不得已シテ更ニ各國ニ取ルベキ等ノコトアラバ、文部卿能ク其意見ヲ盡シ、精擇シテ其
取ルベキモノヲ取り、彼ニ偏スルコト勿レ。(「教育勅語渙發關係資料集」)
承詔必謹