天祐ヲ保有シ、萬世一系ノ帝祚ヲ踐タル大日本帝國大皇帝、敬テ朕カ良友ナル大朝鮮國大王ニ白ス。今般貴國京城ニ於テ、(註一)不幸ナル生事アリ。朕深ク兩國ノ睦誼ヲ全ウセンコトヲ欲シ、茲ニ朕カ最モ信任貴重スル参議兼外務卿伯爵井上馨ヲ特派全權大使ニ任シ、委スルニ、便宜行事ノ全權ヲ以テシ、貴國ニ派往セシム。井上馨ノ忠實明敏ニシテ、能ク其任ニ堪ルハ、朕ノ確信スル所ナリ。依テ同人ヨリ大王ニ對シ、稟白スル所ノ者ハ、朕カ言フ所卜異ナラス。望ムラクハ大王善ク其言う信認シ、之ヲ寵侍榮遇セラレンコトヲ。茲ニ大王ノ多福ヲ祈ル。(「法規分類大全」)
(註一)明治十七年の甲申の年、朝鮮京城(現ソウル)で起こつた政変。開化派(独立党)の金玉均・朴泳孝らが、朝鮮の独立と政治改革をめざし、日本の援助で王宮を占領したが、二日後に清の武力干渉によつて失敗。甲申事変。
承詔必謹