第一六一二詔 楠木正成に正一位を追贈し給へる策命(明治十三年七月二十日)

天皇(すめらみこと)大命(おほみこと)()せ。(ぞう)(しやう)三位(さんみ)(たちばなの)()(そみ)(おくつき)(まへ)に、官位(くわんゐ)姓名(せいめい)使(つかひ)()()(たま)はくと()る。往昔(むかし)年號(としのな)元弘(げんこう)建武(けんむ)()ひし(ころ)天下(あめのした)(みだ)れに(みだ)れ、人心(ひとのこころ)(すさ)びに(すさ)びて、天津(あまつ)日嗣(ひつぎ)(たふと)(こと)をも()(もの)()かりし(とき)に、 (いまし)(みこと)(きよ)(なほ)(あか)(ただ)しき(まこ)()(こころ)(ふる)(おこ)し、(すめら)御稜(みい)()(いや)(たか)(いや)(ひろ)(たす)(まつ)(おこ)(まつ)らむと()て、家族(うから)親族(やから)(ひき)(したが)へ、()(むか)(あだ)(ども)(こら)(しめ)め、最後(いやはて)には(いくさの)(には)身沒(みまかり)(たま)ひき。(ただ)(おの)(みこと)身沒(みまかり)(たま)ひしのみに(あら)ず、兄弟(はらから)子孫(うみのこ)(いた)るまでに()()()(いや)繼繼(つぎつぎ)に、(くさ)むす(かばね)()づく(かばね)を、 天皇(すめらみこと)御楯(みたて)として、許多(あまた)(とし)(あひだ)吉野(よしの)(やま)行宮(かりみや)(まも)(まつ)りし(こと)も、(もは)(いまし)(みこと)(をしへ)()りてし、(しか)()(もの)ぞとなも、(つね)()(もほし)す。(およ)(いまし)(みこと)(すめら)朝廷(みかど)(つか)(まつ)りし(さま)は、天地(あめつち)(むた)(おみ)()(おみ)(かがみ)()()しと()(もほしめ)すが(ゆゑ)に、先年(さいつとし)湊川(みなとがはの)神社(かむやしろ)別格(べつかく)官幣社(くわんぺいしや)(さだ)(まつ)(たま)ひしかども、()(あき)()らず()(もほしめ)(あひだ)に、(いま)此所(ここ)(いた)らせ(たま)ふに()りて、特殊(こと)なる大命(おほみこと)()て、 (おくつき)使差(つかひさしつかは)して、(さら)正一(しやういち)()(おく)(たま)ふ。()()(さま)(きこ)(しめ)せと()(たま)天皇(すめらみこと)大命(おほみこと)を、(きこ)(しめ)せと()る。(「公文錄」)

承詔必謹

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